11月28日のマルタ・アルゲリッチの公演、行かれた方いらっしゃいますか?
どうでしたか?感想でも何でも聞かせて下さい。
年末も近くなったところで
ボティーブローを受けた感じでした。
錦糸町までは時間がかかるので行くのが億劫なのですが、
帰りは口が空いたまま、帰宅の何と早かったことか。
ポリーニには衰えが出てきましたが、
アルゲリッチには全くそれがなく、さらに進化している。
天才中の天才ピアニストであることを
再確認させられた演奏会でした。
まず、冒頭のショパン。
彼女の一番を聴くのは15年ぶりだったのですが、
あの時は「これだけ指がまわるのよ」的な感じの勢いがあったのですが、
今回はテンポが気持ち遅めで始まりました。
しかし、いざ弾き始めたら
持ち前の奔放さと万全のテクニックは依然として保持されていて
その上に渋みみたいのが加わっていて
回顧的なものも感じられて、余裕の演奏ぶり。
ラン・ランやヴォロドスなど指がよく回るピアニストはたくさんいますし、
今年はショパン・イヤーのショパン・コンクールがあって、
ショパンを演奏するピアニストが多かったですが、
そうしたピアニストたちに対して
「アタシがいるわよ」と立ちはだからんばかりの貫録がありましたね。
後半のラヴェルはもっと凄かった。
この20数分を聴くだけでも価値がありました。
もともと四月のフィラ管来日公演で弾く予定だったわけですが、
半年待った甲斐がありました。
演奏会であんなにドキドキ興奮したのは本当に久しぶりでした。
まったくの余裕の演奏ぶりで、時折見せる「アルゲリッチぶり」が
ことごとく胸を突き刺し、それが積み重なって凄い演奏になった。
一人の音楽家がここまで人知を超えた演奏を成し遂げる、
聴衆すべてをかっさらってしまうその凄さは
筆舌に尽くしがたいものがありました。
アンコールにラヴェルの三楽章、さらなるアンコールにこたえて
ショパンの短いマズルカ。
このマズルカがまた何とも粋で、
「どう?」なんて、これまたショパンに取り組む人たちに
グウの音も言わせないような弾きぶり。
勿論本人にそんな意識はあるはずはないでしょうし、
非常に謙虚な方だということもわかるのですが、
「アタシに叶う?」みたいなものを感じましたね。
断罪すべきはバックのアルミンク指揮の新日本フィル。
アルミンクは動き過ぎで目ざわり。
コンチェルトの合わせも下手。
オーボエ一番とホルンは処刑ものですね。
今回はアルゲリッチがpを意識的に弾いていたのに
この両者がぶち壊し。
なぜアルゲリッチが主旋律をpで弾いているのに
Fgの対旋律をfで吹かせるのか全く理解不能。
Fg自体は上手かったのに、
アルミンクのバランス感覚を疑います。
間に挟んだ「ローマの謝肉祭」でも
まったくアルミンクは的外れな指揮ぶり。
抑えなければいけないところを抑えていなくて
ただ動きが大きいだけ。
アマチュア指揮者が振りそうなところばかりを振っていて
プロ指揮者だったら、そんなところは別に指揮者が
オーバーアクションせんでもええだろ、とか
バックは不満でしたね。
オーケストラも全然覇気もなくてアンサンブルも密ではなく
ダメダメでしたね。
だからこそアルゲリッチというピアニスト一人だけで…
と思ってしまったのです。
リストやプロコフィエフ、チャイコフスキーも聴いてみたい…。
素晴らしい演奏会だったことは間違いないです。
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